空想&妄想小説~恋愛編 (後編)~

ご注意

※ これから出てくる人物名や名称、出来事や空間的なことなど、
  100%架空のものですので予めご了承下さいませ。

 

後編

都会を埋め尽くす高層ビル群…
その一つに、我社のABCカンパニーがある。
12時をまわったランチタイムに
B-1にあるカフェの利用するのが俺の日課だ…
いつものようにアメリカン珈琲とスパイシークラブサンドを注文すると、
また、いつものように同じウエイトレスの娘が運んでくる…
「退屈な毎日だ…」

珈琲の湯気を眺めていたら、
先日の夜の事を思い出した。

「高杉 ミサキ」 か…

ちぇっ・・俺は何を言ってるんだ??
行きずりの女を思い出すとは
情けない…

ポケットに手を入れると、
くしゃくしゃに丸められた紙くずがあった・・。

実は、あの朝路上に投げ捨てたあの娘の書いたメモ…
気がついたら、拾っていたのだ。
「ゴミを投げ捨てるなんて、いけない事だよな!」なんて
自身に理由をつけて…
結局また、その女性の事を考え、
また独り言をボソボソ言いながら物思いにふけり
時間が過ぎていった…

いつしか珈琲カップが空になっていた。

「珈琲のおかわりをお持ち致しましょうか?」
ウエイトレスが言ってきた…
時計の針はまだまだランチのオンタイム、
そこで俺は、もう一杯のアメリカンをオーダーした…
すると彼女はニコっと微笑み、
青いマグカップに入れたカフェオーレを持ってきたのだった…。

『え?アメリカンのはずだが?』

「たまには、変わった物もいかがかと思いまして…
このカフェオーレ私のお気に入りなんです!
それではお砂糖を、こうして二杯入れて・・・
どうぞ、召し上がれ! クスッ。  」

彼女の言ったその言葉に圧倒され
言われるとおりに、珈琲とは言えぬその飲み物を
口に運んだのだ…。

いつものウエイトレスが
今日はとても新鮮に…
いや、とても違う存在に感じた。
胸の奥がチクリと痛いような…
他人とは思いたくないような…
不思議な気持ちだ。

大きな眼鏡に茶色の膨らんだ制服。
身長は…「高杉 ミサキ」と同じくらいか…
『!#??????…』
また、彼女を思い出してしまった
まったく、情けない…。

俺は席を立った…

それから毎日
俺はランチタイムが待ち遠しかった…。

死ぬほどまずいカフェオーレを飲むためと
もう一つの目的のために…。

俺の目は自然とあのウエイトレスに目が行っていた…
また彼女の目もこっちを…
いや、
俺の思い込みだ…。
彼女はみんなに優しく、笑顔で振舞っていた・・・。

レジで金を払い 「ごちそうさま」と彼女に告げると、
「また、来てくださいね!」と嬉しそうに…いや、
これも
俺の思い込みだな・・。

デスクに戻り、仕事を始めた…
午後は大事な会議があるのだ。
メモ帳をポケットから取り出し、
同僚と確認を始めた時、
パラっと白い紙切れがメモの間からすり抜けた。
んん??何かのレシートが挟まっていたようだが、特に気にもせず、
俺は、今日の会議の重要ページに
枝折り代わりにはさんでおいた…。

会議が始まった。
先方のお偉いさん方を
納得させ、いい契約を採らなければならない!
プレゼンテーションはどんどん進み
熱い俺達のハートが理解され、
契約に結びつた!
後は、
上司どうしの正式書類の取り交わしのみだ!

肩の荷が下りた俺はふとメモに目を通した…
そして、枝折り代わりのレシートを引き抜き、
メモを閉じた・・・えっ?!

えっ?!
レシートの下に何か書いてある…

これは数日前のものだ。
いったい、どういうことだ????
俺は、冷静さを無くし、慌てて席を立った…
大切な会議の途中の、許されるはずの無い行為であったが、
そんな事より、大切な物が見つかったのだ…
俺は廊下と階段を全力で走り、
目的の場所を目指した…。

レシートの下には
小さく、赤いペンで書いてあった・・・

『Mako・・まだ気付かないの?』

それから僕らの付き合いは始まった…

終わり