空想&妄想小説~妄想デート・キャンプ編~

ご注意

※ これから出てくる人物名や名称、出来事や空間的なことなど、
  100%架空のものですので予めご了承下さいませ。

 

♪りりり~ん(電話の音) 「ガチャ」

「今週末…土曜日と日曜日の二日間なんだけれど空いてる?」
『う~ん…土曜日はお友達と買い物の約束をしてるから、
5時以降なら良いけれど…』
「・・・OK!5時ネ。」
『ちょっと待って!何?いったい何処行くの??』
「仲間でキャンプに行くんだよ!一緒に行こうと思ってさ!」
『キャンプって…泊まりってことでしょ、どうしようかな…』
「隣町のコテージを借りれたんだよ。綺麗だし、近くて良いでしょ!
お風呂もきちんと在るよ!雨が降っても、楽しめるしさあ~!」
『メンバーは誰?私の知ってる人???』
「え~っとねえ…知ってるかもね~みんな一応カップルだよ。
ミサトさんも入れれば合計8名。
以前、養老の滝で一緒に飲んだ人でさ、
ACE会社のボンボンで木村拓哉さんって居たじゃん!その人とその彼女。
工藤静香さんって言ったかな?
それと、
白木屋で遭った人でさ、
ブティックに勤めている福山雅治さんとその彼女の・・・う~ん名前は覚えてないや。
それから、バーテンダーやってる、大森さんって言う人、
いつもオイラが師匠って呼んでる人でさ、
イタリアンカフェのアバンティーの・・・
そうそう!その人!。
もう一人女性が来るらしいけれど、知らないんだよ。
静香さんがお友達を連れてくるらしいんだ。
これで僕達を入れれば8名だよ~」

『私が行っても良いのかな???』

「いいの・いいの!ねえ~~ねっ!行こうよ!」

・・・という事で、
土曜日の夕方からミサトさんは合流するという事で、
キャンプは決定した・・・・。

(当日夕方5:30ミサトさんから電話が入る。)

「いまここだけど、何処に行けば良いの??」
と、連絡があったので、僕はその場まで迎えに行った。
ちょうど、食事の準備をしていたところだったので、
グッドタイミングで合流する事が出来た。
「紹介しま~す。僕の彼女の<彩波 ミサト>さんです。」
『よろしくお願いしま~す』

人見知りで緊張しやすいミサトさんでしたが、
仲間の人達と以前会ったこともあり、時間が経つと意気投合し、
楽しそうに時間を過ごしていました。
おっちょこちょいの彼女はバーベキューの串を手に刺すというハプニングも在ったが、
無事にずべての準備が整い、乾杯に!
今回はバンガローのテラスで、バーベキューをして、
部屋に持ち込みワイングラス片手に食事をするというお洒落なキャンプ。
生ビールサーバーまで持ち込んで、
わいわいガヤガヤ…。

初めて今回来たという静香さんの友達は
<松島ななこ>という名前で、
小柄なかわいい感じの人だ。
22歳で僕らとほぼ同じ年齢で、
話は会うはずなのだが、
ちょっともの静かな人で、
イマイチ仲間に入れないというか
居場所が無い…ように思えた。
そこで、そんな雰囲気を察した僕とミサトさんは
うまく彼女をリードし、
その場を楽しくする事に成功!
さすがは、僕の彼女だ。
たとえ、おっちょこちょいでも
たとえ、車の運転が下手でも、
人との付き合いは上手なのだ!
そういうミサトさんがぼくは大好きなのだ!
反面、付き合いが上手すぎて、
いろんな男と飲みに行ったり、遊びに行ったりするのは、
大きく問題だが、
これはまた機会を見つけて、
彼女には はっきりと言うつもりだあ!

夏の暑さもあってか、
ビールも進む進む。
大森師匠がギターで歌うと、
また盛り上がって、みんなでハミング…
アルコールのせいもあってか
松島ななこさんも、おしゃべりになってきた。
大森さんも彼女のリクエスト曲に答えてあげて、
2人は急激に仲良くなってしまったようだ。

外に出て、みんなで花火をしようという事になり、
ロマンチックナイトに華を添える…。
飲みすぎて、人が変わった木村拓哉さんは
花火を持ったまま大声をあげて、そこらじゅうを走り回り、
相変わらずの渋い福山君は、陰に隠れるように彼女とコソコソいちゃいちゃ…。
大森師匠と松島ななこさんは仲良く一つの花火をしていた。
僕らはというと、
誰もが羨むように仲良く…なはずだったが、
飲みすぎた工藤静香さんが
「ミサトちゃん聞いてよ~」と
2人で切り株に座り、
ビールジョッキを持ったまま、
話し込んでいた…。
高山は焚き火に薪を入れながら
一人自分の世界に入り込んでいたのだった。
彼女は、ひょっとして、
ナルシストである高山を察して、というか、
焚き火に夢中になりすぎている僕ではつまらなかったので
静香さんと話をしていたのかもしれないが、
そこは、まあ、どうでもいいことにしょう…
僕はこういう、焚き火が大好きだから、
一人にしておいてくれるほうが嬉しいのだ。

花火が終わったので、
みんなでお風呂に行く事にした。
100メートルほど行くと、
大きな温泉施設があり、深夜まで入れるのだ!
今回は予約しておいたプライベートバスルームにみんなで入ることになっていたのだ。
露天のジャグジーっぽい感じのやつだ!
とりあえず恥ずかしいので
電気は消して、月明かりだけで入った。
バスタオル一枚の世界に照れながら、
みんな赤い顔をして。←(アルコールのせいかもね…)
ボディーラインがくっきりとして、もうドキドキ…
たぶんみんながそう思ったと思う。

アルコールと、温泉と、そういう意味でもドキドキで
心臓に良くないということで、お風呂から出る事になった。

コテージに戻り
予定していた二次会が始まった・・。
対面式キッチンカウンターの中では
アバンティのバーテンの師匠がカクテルを作り、
先程女性達が作ったカナッペをつまみに、飲もうという訳だ!
BGMに用意したカセットデッキからは
小粋なジャズが流れ、
ダウンライトにした部屋は
トワイライトなカフェバーさながらだ!
さすがはプロのバーテンダーが作るカクテルは、
美しい…
キャンプという設定上、
持ち込むお酒に限りがあるが
わずかな種類で、バラエティー豊かな
カクテルが出来上がるのはさすがだ!

その
カクテルシェーカーを振る師匠の前には
松島ななこさんが居て、
楽しそうにお話をしていた。
<テキーラサンライズ・ななこスペシャル>には赤面したが
不器用な師匠らしいアプローチの仕方だ!

中央のソファーには拓哉と静香がグラスを傾けていた。

「飲みすぎた…」という理由で
2階の個室ベッドルームに早々消えていった福山君達…

僕とミサトさんは師匠の作ったカクテルを片手に
テラスに出て星空を眺めながら、2人のおしゃべりを楽しんだ。
僕の右手と彼女の左手はグラスを持ち、
空いた片手はテラスの桟で重ねあった…
僕の持つグラスは、ブルームーン。
ブルーキュラソーの鮮やかな青色が、
夏の夜を高ぶらせる…
無言もまた、お互いの気持ちを思う演出なのか・・・

僕は、ミサトさんの前では飾れないのだ。
カッコもつけられない…
自然とか言うんじゃなくて、
何も出来なくなってしまうのだ…
気の効いた台詞や仕草も、
口説き文句も、彼女には出てこないんだ。
あの子やこの子やその子には、
ポンポンと出てくるような笑い話付きの三流の口説きセリフは
彼女を前には出てこない。
愛とか恋とか、好きになるとか、
言い方はいろいろあるけれど、
離れたくない…誰にも渡したくない…という気持ちが先行してしまい、
他の人のような楽しい時間を
彼女には、過ごさせてあげられないのだ…。

そう、心の中で思っていただけのはずだったが、
気がついたら、声に出していた・・・。
アルコールのせいか、雰囲気のせいか、
心の叫びだったのか、
明らかに彼女に聞こえる言葉で、そんな事を・・・。

それに対し、ミサトさんはしばらく黙ったままだったが、
何を思ったのか、彼女はニコニコして、
沢山の話をしてくれた…
こんなに話をしたことが無いというくらい、
濃い内容であったのだけれど、
ホンネで言って
笑顔で口が動き、お話をしていた彼女を見るのが
切なくなってしまった…

それは、
僕は彼女に「愛」というより
安らぎに近い物を感じている。
それが愛なのか、恋なのか、何なのかはわからないが
浮かれた話っていうよりも、
傷ついた夢を聞いて欲しいっていうのか、
他の人には言えないような内容…
特別な話をしたいというのか、
彼女には悪いけれど、
そんな欲深い考えをしているのだ。
もっと言うならば
小さなことからこんな事までっていうくらい
<彩波 ミサト>でなくてはいけないのだ!
そのくらい彼女のことが大切なのだが、
僕みたいな考え方のボーイフレンドを持つと
周りのカップルのような楽しみを味わう事が出来ないだろう…
などと、ウジウジ考えてしまうのであった。

はっ!っと気付くと、
彼女の顔が目の前にあった…
お互いの体温と存在が重ねあった手からではなく、
別の部分から感じる事が出来て、
なぜか、安心するのだった・・・。

そこへ、「お邪魔しま~す・・・」
師匠とななこさんがテラスに出てきた。
「一緒に、線香花火しませんか?」
それを聞いた僕達は
なぜか大笑い。
今までの重い雰囲気も、一瞬に過ぎ去った…。

テーブルにろうそくを立て、
4人で過ぎて行く夏を惜しむかのように、
飛び散る小さな光に目を細めた…
突然、
「来週なんですが、4人で一緒に海に行きませんか?」
ななこさんが言い出した。
いろいろ考えたが、とりあえず行こう!という事で
決定したのであった…。

時計を見たらもうAM2時だったので、
ベッドに入ることにした。
福山君達は2階の左の部屋だし、
右は拓哉さん達だし、
1階のベッドで師匠達が寝る事になった。
もちろん僕達も1階のベッドだったが、
個室じゃないから・・・
でも手を繋いだまま眠りに付いた僕と彼女でした…

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

翌朝、スクランブルエッグを焼く匂いがして、
目が覚めた。
大森師匠と、ななこさんが仲良く朝食の準備をしていた。
朝日こぼれるログハウスに、
さわやかな空気がながれ、
二日酔いの体に沁みていくようだった…。
「ミサトさん、おはよう!」
耳元でささやくように起こしてあげた。
恥ずかしそうに起き上がる彼女を見て、
なんて可愛いんだろうと、胸キュンになってしまう僕であった・・・。

朝食を済ませ、
後片付けをして、グループ・キャンプデートは終了。
なぜか、卓也と静香はケンカっぽくなっていた。
昨日何が在ったんだろう???
福山君達はもう恥ずかしいくらい、ベタベタして帰って行った。
う~ん…なにがあったんだろう???

大森君と来週の海の予定を立てるために
僕らはその場に残った…。
そして、
海のデートに続くのであった…。

終わり

(海のデート編に続く・・)

空想&妄想小説~恋愛編 (後編)~

ご注意

※ これから出てくる人物名や名称、出来事や空間的なことなど、
  100%架空のものですので予めご了承下さいませ。

 

後編

都会を埋め尽くす高層ビル群…
その一つに、我社のABCカンパニーがある。
12時をまわったランチタイムに
B-1にあるカフェの利用するのが俺の日課だ…
いつものようにアメリカン珈琲とスパイシークラブサンドを注文すると、
また、いつものように同じウエイトレスの娘が運んでくる…
「退屈な毎日だ…」

珈琲の湯気を眺めていたら、
先日の夜の事を思い出した。

「高杉 ミサキ」 か…

ちぇっ・・俺は何を言ってるんだ??
行きずりの女を思い出すとは
情けない…

ポケットに手を入れると、
くしゃくしゃに丸められた紙くずがあった・・。

実は、あの朝路上に投げ捨てたあの娘の書いたメモ…
気がついたら、拾っていたのだ。
「ゴミを投げ捨てるなんて、いけない事だよな!」なんて
自身に理由をつけて…
結局また、その女性の事を考え、
また独り言をボソボソ言いながら物思いにふけり
時間が過ぎていった…

いつしか珈琲カップが空になっていた。

「珈琲のおかわりをお持ち致しましょうか?」
ウエイトレスが言ってきた…
時計の針はまだまだランチのオンタイム、
そこで俺は、もう一杯のアメリカンをオーダーした…
すると彼女はニコっと微笑み、
青いマグカップに入れたカフェオーレを持ってきたのだった…。

『え?アメリカンのはずだが?』

「たまには、変わった物もいかがかと思いまして…
このカフェオーレ私のお気に入りなんです!
それではお砂糖を、こうして二杯入れて・・・
どうぞ、召し上がれ! クスッ。  」

彼女の言ったその言葉に圧倒され
言われるとおりに、珈琲とは言えぬその飲み物を
口に運んだのだ…。

いつものウエイトレスが
今日はとても新鮮に…
いや、とても違う存在に感じた。
胸の奥がチクリと痛いような…
他人とは思いたくないような…
不思議な気持ちだ。

大きな眼鏡に茶色の膨らんだ制服。
身長は…「高杉 ミサキ」と同じくらいか…
『!#??????…』
また、彼女を思い出してしまった
まったく、情けない…。

俺は席を立った…

それから毎日
俺はランチタイムが待ち遠しかった…。

死ぬほどまずいカフェオーレを飲むためと
もう一つの目的のために…。

俺の目は自然とあのウエイトレスに目が行っていた…
また彼女の目もこっちを…
いや、
俺の思い込みだ…。
彼女はみんなに優しく、笑顔で振舞っていた・・・。

レジで金を払い 「ごちそうさま」と彼女に告げると、
「また、来てくださいね!」と嬉しそうに…いや、
これも
俺の思い込みだな・・。

デスクに戻り、仕事を始めた…
午後は大事な会議があるのだ。
メモ帳をポケットから取り出し、
同僚と確認を始めた時、
パラっと白い紙切れがメモの間からすり抜けた。
んん??何かのレシートが挟まっていたようだが、特に気にもせず、
俺は、今日の会議の重要ページに
枝折り代わりにはさんでおいた…。

会議が始まった。
先方のお偉いさん方を
納得させ、いい契約を採らなければならない!
プレゼンテーションはどんどん進み
熱い俺達のハートが理解され、
契約に結びつた!
後は、
上司どうしの正式書類の取り交わしのみだ!

肩の荷が下りた俺はふとメモに目を通した…
そして、枝折り代わりのレシートを引き抜き、
メモを閉じた・・・えっ?!

えっ?!
レシートの下に何か書いてある…

これは数日前のものだ。
いったい、どういうことだ????
俺は、冷静さを無くし、慌てて席を立った…
大切な会議の途中の、許されるはずの無い行為であったが、
そんな事より、大切な物が見つかったのだ…
俺は廊下と階段を全力で走り、
目的の場所を目指した…。

レシートの下には
小さく、赤いペンで書いてあった・・・

『Mako・・まだ気付かないの?』

それから僕らの付き合いは始まった…

終わり

空想&妄想小説~恋愛編 (前編)~

ご注意

※ これから出てくる人物名や名称、出来事や空間的なことなど、
  100%架空のものですので予めご了承下さいませ。

 

登場人物:MASAHIKO (有名デパート勤務/金持ちボンボン)
MAKO・・  (ABCカンパニー勤務・役職は係長)

 

前編

♪あの日あの時あの場所で君に会わなかったら~♪
by 東京ラブストーリー:小田和正

TVで大流行の東京ラブストーリー…
人気俳優が主演の人気ドラマだ!
そんな作り話のテレビをだらだらと見ていたオレであったが
もしも、こういう彼女が居たら…
なんてことを思う一人暮らしの寒い夜。
時計の針が10時をまわった時、
電話が鳴った…。

「おい!これから飲みに行こうぜ!」

友人と言えるほどではないが
最近知り合ったMASAHIKOという男だった。
DCブランドでバシッと決めている、にやけた野郎だ!
俺は出かけるのが面倒臭かったが、
断る理由も無いので、行く事にした。

待ち合わせはいつのも
イタリアン・カフェバー、アバンティー…
古いジャズの店だ。
俺はいつものカウンターの隅に座り、
バーテンのジェイクにいつもの酒を頼んだ。

「タカヤマサンイラッシャイ、バーボンノロック、オマタセイタシマシタ」
俺は三口でそれを飲みほし、
ジュークボックスにコインを入れた…

『お待たせ~!Mako・・』
MASAHIKOがやって来た…
いつものようにあいつは全身をブランド物で決め、
両腕に女を飾っていた…。
『Mako…どっちの女がいい?』

ワンレングス&ボディコンシャスルックの今時レディー…
どうせ、ディスコで引っ掛けたんだろうが、
それにしても、軟派な奴だ…
石原真理子気取りの小娘たちに
牙をむくとは…
と言いながらも
やっぱり、若い女の子は可愛い…
体のラインがきれいに出たその服やその容姿は
MASAHIKOじゃなくても
誘いたくなるだろう・・・

いつものリザーブ席に行き、
飲み明かそうという事になった…
結局、俺も軟派な奴だな。

どのくらい時間がたったんだろう…
アーリータイムズのボトルが終わりかけた時、
MASAHIKOとオレンジの服を着たショートカットの女が
「それじゃ、俺達はこれで!まったねえ~!」
と、一万円札を2枚置いて店を出て行った…

仕方がないので
俺達もこの店を出ることにした。
しかし、
行く所も無いし、どうしようかと考えていたところ、
「あの~私のマンションに行きませんか…」
と彼女が言い出した。
お酒が入っていたせいもあってか、
俺はそのまま、彼女に連れられて、
マンションに行く事にした。

聞けば
すぐ近くの高層ビルにあるマンションらしく、
また、そこのビルは
俺の部屋からすぐそこだ…

部屋に入ると
おおきな熱帯魚の水槽があり、
また、ホテルのような一室から見る都会の夜景は
お互いの気持ちを高ぶらせた…
スレンダーな彼女の体を抱きしめると
とても良い香りがした…
力を入れれば折れてしまいそうなくらいのその体に・・・

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

朝になり、横で眠る彼女を置いて
俺はその部屋を出た…
お互い名前も聞かず、
連絡先も確かめず…

唯一、MASAHIKOが俺を呼ぶ時言った
「Mako」という名前だけを残して…

俺は自分の部屋に戻るとき、
上着の胸ポケットの中に、
紙切れがあることに気付いた…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

また、会って下さいね。
私の名前は

高杉 ミサキ です

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

俺は、その紙切れ…を丸めて、道路に投げ捨てた・・・。

空想&妄想小説~妄想デート・ドライブ編~

 

ご注意

※ これから出てくる人物名や名称、出来事や空間的なことなど、
  100%架空のものですので予めご了承下さいませ。

 

季節は初夏…
目覚めの良い僕は5時に起きて、
愛車の真紅のスポーツカーを磨きこんでいた…。
そこで、ふと、
隣にある親父のグレーのセダンが気になりだす…

時間になったので、愛車のキーを握り締めたが、
今日は、親父の車を借りることにした。
気まぐれってやつかな…。

ちょっと遠出をしたかったので、
待ち合わせはAM7:00。
残業続きの彼女には悪いと思ったが、
今回のデートは2カ月ぶりだから、
勘弁してもらおうと思ったのだ。

しばらくすると、
彼女の家が見えてきた。
高台にある大きなお屋敷だ!
正門の前に白いワンピース姿と、
小ぶりな麦藁帽子がまぶしい娘が立っている。

そう、彼女が僕のガールフレンド。
名前は「伊集院 エリカ」
バリバリのお嬢様だ!

「おはよう!」
『??あっ!オッ、オハヨ~ 車が違ったから解らなかったわ~』
助手席のドアを開け、彼女がシートに滑り込んだ。
「しゅっぱーつ!」
CDやステレオなんて
この車にはついてない。
だから、お話が弾むんだよね~
それに、この日のために買った青いサマージャケットは、
真紅のスポーツカーより、こういうおじさん車のほうが似合うのだ!

『今日はどこに行くの?』
彼女が聞く…
「僕のお勧めの、いい所さっ!」

山梨方面に向け高速道路に車を走らせた。
いつもの小さなスポーツカーより、
親父の車はゆったりしていて、ラクチンだ!
とりあえずいつものように
朝食に彼女の手作りサンドイッチを口に運び、
笑い話で御坂インターを下りる。
そのまま河口湖大橋を渡り、山中湖まで一気に走り抜けた。
湖面の反射するまぶしさと、
彼女の横顔に目を細め、
洒落たオープンカフェで休憩。
アイスココアとアップルティーをウエイターに頼み、
青空と白い雲を上に、
湖面に浮かぶ釣り船を背景に、
そして、
白いテーブルの正面には、
ステキな彼女が…
「し・あ・わ・せ なんちゃって~~でへへへ」(妄想中)
そんな僕を見て、彼女は
『何、ニヤニヤしてるの??』と聞いた。
「あっ、いやいやいろんなこと考えてたからさ、あははは・・」

お店が混み始めてきた。
休日だから、どこもカップルでいっぱいなんだ…
レジサイドで売っていた山中湖限定ポッキーを一つ買い、
また僕らのドライブは始まった。

♪カーラジオから流れる曲は、
ちょっと懐かしい80年代の青春グラフティー
なにげに口ずさんだりして…、
また、その頃のお互いの思い出なんかを話したりして…
初夏の風を窓いっぱいに入れ、
緑の香りで深呼吸。
御殿場のアウトレットタウンを横目に箱根方面へ車を向ける。
フェラーリ博物館にも寄ってみたいのだが、
僕の彼女はそんなに言うほど車に興味はない。
それどころか、
運転も下手だ!
以前、彼女の助手席に乗って悟ったことがあった。
交通事故に遇わない努力をしようと・・・
高速道路での追い越しのタイミング、
街中では内輪差を考えずハンドルを切る人・・・
こういう運転手の近くには寄り付かない事が
事故に遇わない一番の方法だとね。
・・・そんなことを思い出してしまった。

箱根山入り口に
おいしい鉄板焼きのお店がある。
ここのランチは絶品だ!
お肉も柔らか、野菜もバリバリ、ワインも渋い!
しかし、
時計の針は11時。しかもまだお腹も減ってない。
「ここ美味しいんだよね~」
と話だけで通り過ぎてしまい、
彼女はちょっと不機嫌に…
????
この不機嫌な理由は2つある。
一つは、話だけで終わってしまった事。
二つ目は
どうして、このお店を知っているのかという事と、
その時誰と行ったのか?という事。
いつものように、
得意な想像力と妄想の世界で、
ネチネチとあることないことを作り出し、
しばし、険悪な時間が流れる。

そうこうしている内に、
箱根の芦ノ湖に着いた。
「海賊船に乗ろう!」
と声をかけたが、彼女は相変わらず
黙ったままだ…。
遊覧船乗り場に着くと、
タイミングよく出港時間5分前。
僕は、彼女の手をとり
甲板の最後尾へ行った。
出航するときは
みんなは前に行きたがるが、
こういうときは、逆に後が穴場なのだ。
何の穴場か???
陸が離れていくのがしっかり見えて、
人気が少ないからね…
手を繋ぎっぱなしでも、迷惑をかけないんだよ!
しかし・・・
しょせん、僕も一般人。
最後尾も人でいっぱいだ・・・
それでも、ここぞとばかり
彼女の手を引いて
一番良い所に行ったのだ!

甲板上にある売店で、海賊サンドとビールを一つ買う。
ローストビーフが入った香ばしいホットドックだ!
湖と山の風に乗って
彼女の髪がなびく…
ワンピースのスカートも絵に描いたように
フワフワとして、リゾートが良く似合う。
海賊の衣装を着た船長と三人で記念写真をとり、
そのまま少し話をしているうちに、
意気投合し
中の機械室を案内してくれる事になった。
一般は立ち入り禁止区域だ!
僕は、なぜか、こういう機会に恵まれている…
僕達だけの特別なこと、ってことに。
船長室から見る景色もまた
違ったものに見えた。
乗組員用のお茶をご馳走になり、
2人はかなり満足!
船長から、
「あそこに見える、白いレストランがあるだろう!
今日のランチは絶対お勧めだよ!!」
と聞き、後で行ってみる事にした。

あと少しで航海も終わりに近づいた時、
丁寧に御礼をしたあと、
また甲板に出た。
あの有名な「タイタニックごっこ」もしたかったけれど
考えてる事はみんな同じで、
順番を待つように誰もが同じようにタイタニックごっこをしていた…
『私達はやめようね…』と、彼女が言った。
内心、それをやりたかった僕は、
ちょっぴりガッカリ…。(ああ~小市民)

さわやかな遊覧船の旅は、これで終了。
いつのまにか、彼女の機嫌も治っていた。

しばらく元箱根街を歩き、
あのレストランに行った。
湖面に突き出したその建物は、
雰囲気も最高!
ウエイトレスに
海賊船の船長から紹介されたことを告げると、
にっこり微笑んで、
特別な席に案内してくれました。
湖に突き出した一番の先端。
芦ノ湖を手に入れたような気持ちになる場所。
デザートをメインにしたランチセットは、
食事は少し、デザートたっぷりってもので、
彼女は大満足!
子羊の骨付きカルビは柔らかく、
イースト菌のにおいがする焼きたてのバターロールも、
ソースに良く合い、
当然野菜スープも美味しい~。
デザートのケーキセットは15種類あり、
選ぶのが大変だ…
僕はアップルパイにバニラアイスクリームをトッピング。
そしてアメリカン珈琲を、
彼女は…結局迷っていて、選ぶことが出来ず、
お店の方に
特別にお願いして5種類をいただくことにした・・・。
目の前でケーキにデコレーションするパテシエの姿は
華麗で見事な演出でした。
ケーキをニコニコパクパクと幸せそうに食べる彼女を見て、
今日は、誘って良かった…と思う僕でした。

お腹がいっぱいになり、
少し散歩する事にした。
150年以上前に天然石で作られたという遊歩道を歩きながら、
湖面を眺め神社にお参りし、
コケの匂いに歴史を感じ、
ちょっと大人っぽい雰囲気のなか、
ゆっくり歩き、
2人の時間を楽しみました…。
手をギュッってしっかり繋いじゃったり、
縁結びの神様の前でしっかり拝んじゃったり、
子宝の仏像とか、しっかり摩っちゃったり、
おみくじ引いたら大凶で
えーんえーんって泣いちゃったり、
他のカップルの写真とってあげたり、撮られたり…
湖から吹く風もさわやかそのもの。

時計の針は
3:40
「そろそろ帰って行こうか…」
箱根を後にし、
山中湖に向かう…
夕日を見るのにはまだ早かったが
そこは気分でどうにでもなる。
山中湖に沈もうとしている揺らめく太陽を見て、
これからの2人のことなんかを語り合ったり…

長野県を目指し、車を走らせる・・。
車内のBGM♪は夕暮れに良く似合う
外国の曲だ!
洋楽と世間は言うが、
僕は「外国」というのが好きだ!
ベンツやポルシェを見て
「おお!洋車だっ!」って言う人はいない・・。
やはり外(ガイ)なのだ!!

などと、どうでもいい事を一人で考えていると、
ヘッドライトをつける時間になっていた。

助手席の彼女はお休み中…
そんな可愛い姿を見て、一人ニヤつく僕でした。
小淵沢インターを下りて、清里方面へ…

『う、う~んごめん・・寝ちゃった…
もお~~起こしてくれればいいのに~~今どこ?』

満天の星空を見せたかった僕は
清里スキー場を目指していた。

PM7:45
初夏とはいえやはり高原。
涼しい風が吹いている…
僕は自分の匂いのついたジャケットを彼女に掛け
車から下りた…
天然大プラネタリウムの星空は
輝かしい光を放っていた。
彼女を包み込むように抱きこみ
一緒に時の流れるのを過ごした…
流れ星も時々見えて、幻想的。
そんな2人の間には、余計な言葉はいらない…
必要なのは
一緒に居たいと思う気持ち。
しばらく、ロマンチックな時間がながれた・・・。

突然、彼女が口を開いた。
『トイレ行きたい!』
「えっ?ええええ~~~そりゃ大変だあ~」
慌てて車に乗り
清里駅方面を目指す。
コンビニが在ったので、そこを利用する事にした。
WCだけじゃ悪いから
コーラと紅茶を買った。

最終目的地の家を目指すちょっと切ないドライブタイム。
オートマチックの車ならではの
お手手つなぎでず~っと・・・
離れるのを惜しむかのように
強く握り返す二人でした…。

最後の赤信号で、お別れのKISS…
「一日振り回しちゃったネ…疲れたろ?」

『ううん、楽しかったわ』

ラジオから♪ムーンライトセレナーデ♪が流れる…
それじゃ、また

ステキな夢を…

おやすみなさい。

 

( 第一話 完 )